PS版『ドラゴンクエストVII』プレイ日記。
プロビナ、ルーメンに続いて選んだのは「赤色の石版」の世界、マーディラスです。
ここは過去の重いストーリーと、現代の明るいギャップが激しい、ドラクエ7屈指の名(迷?)エピソードが詰まった場所でした。
魔法の国マーディラス
かつてないほど「魔法」に特化した国マーディラス。その異様な雰囲気に圧倒されます。
城下町の洗練された空気とは裏腹に、どこかピリピリとした緊張感が漂うこの国の現状と、隣国との因縁とは…
隣国のラグラーズ

マーディラスへ向かう道中、まずは北にある「ラグラーズ」という国に立ち寄りました。
ここは「剣こそ力」を掲げる軍事国家だったそうですが、訪れた時はまるでお通夜のような雰囲気。
なんと10年前は一度戦争でラグラーズが勝利していたものの、現在はここ数年で魔法国家として急成長したマーディラスに完敗したあげく荒廃してしまったそうです。
ドラクエの世界では「剣と魔法」は共存するものですが、ここでは明確に「魔法 vs 剣」の対立構造があり、魔法側が圧勝した直後という殺伐としたタイミングでの訪問となりました。
城壁が崩れ、覇気のない兵士たちの姿に、戦争の生々しさを感じずにはいられません。
マーディラス城の現状
いざマーディラスの城下町に入ると、雰囲気はこれまでの暗く土臭い村とは違い、アカデミックで洗練された印象を受けます。
ドラゴンクエストⅦ マーディラス城内の石碑より
国全体が「魔法を使えるエリートが偉い」という実力主義になっており、戦争に勝った国特有の熱狂と、独裁的な危うさが同居していました。
これはかつての王?ジェシカ・マーディラス1世の「どんな道であろうとも必ず頂点を目指せ。」という言葉を国全体で大切にしている証拠なのかもしれませんね。

さらに、城へ行ってみて驚愕。
なんと、王の間が魔法の力で宙に浮いているのです!
王であるゼッペルは、謁見の時間にならないと降りてこないという徹底した引きこもり……ではなく、セキュリティ体制。
クルエイチでも城自体には「メディルの使いです」と嘘つけば簡単に入れる激甘セキュリティ…
皇太后の書状


城の中では、先代の王と皇太后に会うことが出来ます。
皇太后は、かつては深い親交があった南の大神殿に対して、息子である現国王が関所を作って一方的に交流を断ち切ったことを不安に思っていたようです。
そこで、旅人である主人公たちに大神殿にいる大神官への書状を手渡します。
滝壷の洞窟と星空の結晶


皇太后からの書状を大神官に届けるため、関所を越えて南の大神殿へ向かいます。
大神官は「マーディラス王が研究している”究極魔法”を封じるための魔法」を研究しているようです。
その封じるための魔法に必要な「星空の結晶」を取り行くというお使いを頼まれます。
ここで忘れられないのが、洞窟の途中に住んでいるドワーフ(ホビット)の夫婦です。


星空の結晶は滝が止まらないと取りにいけません。
滝が止まる時間まで夫婦が親切に家に泊めてくれたので「いい人たちだなあ」と感動していたのですが…
無事に星空の結晶を採取できてからもう一度話しかけると、「宿泊代」としてきっちり40ゴールドを請求されました。
「タダより高いものはない」を地で行くこの展開。
世界を救う旅の途中でも、世知辛い現実に引き戻されるのがドラクエ7の魅力(?)ですね。
究極魔法とメディルの使い
物語は、ゼッペル王の過去と、彼を利用しようとする怪しい影の登場によって急展開を迎えます。
王がなぜそこまで「力」に執着するのかという悲劇の背景、胡散臭さ満点の重要人物「メディルの使い」とは。
究極魔法


星空の結晶を大神官に届けると、いよいよ「究極魔法を封じる魔法」が完成!
…するかと思いきや、失敗に終わってしまいました。
仕方がないので、王が究極魔法を完成させることを遅延させるようお願いされます。
ということで、マーディラス城へ戻る羽目になります。
大神官の書状をもらい、関所も城内へも入れるようになります。
ちなみに、究極魔法は強大な力があるため大陸ごと吹っ飛ぶ威力があるのだとか。
恐ろしすぎ。
ディノのゼッペル
マーディラス城下町に戻ると、少女ミクワが練習中の魔法を暴走させてしまい、通りすがりの怪しい男に命中させてしまいます。
怪しい男は仕返しとしてメラゾーマを喰らわせようとしますが、神父のディノが身を挺してミクワを守ります。
急いでディノを救助し、一命を取り留めます。
ここで明らかになるゼッペル王の過去が、本当に重いものでした。


幼馴染の神父ディノの話によると、かつてラグラーズ兵に絡まれた際、非力だったゼッペルはもう一人の幼馴染である少女・ルーシアを救えず、彼女は崖から落ちて亡くなってしまったそうです。
「力がなかったから守れなかった」
そのトラウマが、彼を究極魔法「マナスティス」への執着へと駆り立てていました。
単なる悪役ではなく、悲劇から生まれた狂気だと思うと、プレイヤーとしてもやるせない気持ちになります。
DQ4のルーシアとは無関係。
両親はマーディラス城内で杖作りをしているおじいさんと、魔法の布を織っているおばあさん。
8歳の時にラグラーズの兵士長に斬り付けられたマーディラス兵に巻き込まれ、ゼッペル、ディノの目の前で崖から転落死してしまう。
ただし、遺体は発見されなったらしく、ゼッペルなどは「異国で幸せに生きている」と願望交じりで信じている。
胡散臭いメディルの使い


以前は城に入るため、主人公たちは「メディルの使い」と偽って潜入しました。
しかし今回は大神官の書状があるので堂々と入城できます。
その後、本物の(?)「メディルの使い」を名乗るフードの男とマーディラス王・ゼッペルが会話しているところに遭遇します。


「メディルの使い」を名乗るフードの男は、何かをゼッペルに渡していました。
皇太后の話も勘案するに、究極魔法に関わる書物を渡していたようです。
見た目といい、物のやり取りといい、どう見ても怪しいです。
それにしても、偽者の主人公たちを通し、さらにこの怪しい男も通すマーディラス城の警備、ザルすぎませんか?
もちろんどちらもメディルの使いを名乗っているので、騙される要素はあるのですが…
国が滅びかけた原因の半分くらいは、このガバガバなセキュリティにある気がします。


大神官からの伝言をゼッペルに伝えるも、全く聞き入れてもらえません。
仕方がないので城下町に戻ると、大神官の書状を持っていることで、今まで入れなかった魔法研究所に入れるようになっています。
一通り魔法研究所を探索して建物を出ると、大神官が呼んでいるという伝言を貰います。
再度大神官の元へ戻ることに…しかし、結局究極魔法を打ち消す魔法はまだ完成しませんでした。
メディルの使いの正体


案の定、フードの男「メディルの使い」は魔物の手先でした。
人間のふりをしていましたが、その正体はきとうし(祈祷師)のような見た目の魔物。
強力魔法を使ってくるなかなか厄介な敵ですが、逆に魔法さえ封じれば完封できちゃうもろさもあります。
彼がゼッペルに渡した究極魔法「マナスティス」は、国を守る力ではなく、唱えた者を破壊の化身に変え、大陸ごと滅ぼすという最悪の罠でした。
暴走ゼッペル強すぎ問題
PS版プレイヤーにとって、この章最大のトラウマポイントといえばこれでしょう。
究極魔法によって魔物と化したゼッペルとの絶望的な戦闘と、そこからの逆転劇について語ります。
究極魔法の完成


魔法研究所の奥では、既にゼッペルが究極魔法完成の最終段階に取り掛かっていました。
ディノが一生懸命説得しますが、結局ゼッペルは究極魔法を完成させてしまいます。
完成した結果、ゼッペル王の様子が豹変!
強力なチカラを得た状態で、どこかへ去っていきました…
ゼッペル第1形態の絶望感


マナスティスを唱え、理性を失って魔物(リビングスタチュー型)に変貌したゼッペル。
こいつが、とんでもなく強いのです。
こちらの攻撃は大して効かないのに、相手はイオナズン、こごえるふぶき、痛恨の一撃と容赦ない猛攻を仕掛けてきます。
HPはなんと40000(当時のラスボス・初戦オルゴデミーラより高い!)。
基本的には「負けイベント」なのですが、PS版では行動パターンが固定されているため、ガチガチに対策すれば理論上は倒せる……ものの、倒してもストーリー上は「負け」扱いになるという徒労感も含めて絶望的でした。
大神官の執念!マジャスティス


暴走するゼッペルを止めたのは、主人公たちではなく大神殿の大神官でした。
彼が研究していた、あらゆる魔法を無効化する呪文「マジャスティス」!
これを食らったゼッペルは弱体化し、ようやくまともな勝負(第2形態)になります。


第1形態に比べるとかなり弱体化しているものの、それでも結構な強さです。
どうしても長期戦になってしまうので、苦戦した印象がついてしまいます。(実際は時間がかかるだけで苦戦感はない)
現代マーディラス
過去の激動から一転、現代のマーディラスは平和そのもの。
魔法国家から芸術国家へと生まれ変わった街の様子と、個性的すぎる現代の主・グレーテ姫について語ります。
魔法から音楽へ!
現代に戻ってマーディラスを訪れると、かつての魔法研究所は楽器屋や道具屋に変わり、国は「芸術の都」として平和そのものになっていました。
過去のゼッペルが晩年、魔法ではなく絵画に没頭した影響が、現代に芸術という形で受け継がれているようです。
芸術の中でも、特に音楽に力を入れている模様。
ラグラーズという国もいつの間にか統合されて消滅しており、争いのない世界にホッとします。


アイラが加入してから訪れると、グレーテ姫は伝説のトゥーラ弾きを探すイベントを企画してくれます!
グレーテ姫の画伯っぷり
現代マーディラスを治めているのは、若き女性リーダー、グレーテ姫。
一人称は「わらわ」。
高飛車ながらも主人公たちを強引に友達にしてしまう愛嬌があり、プレイヤーからの人気も高いキャラです。
面白いのが、彼女の壊滅的な絵の才能。
城に飾ってある「コンニャクのような城」や「緑色の怪物のような森」の絵は、なんと彼女の作品だとか。
本人は「絵はもうやめじゃ!」と言いつつ、しっかり自室に飾っているあたりが憎めません。
城下町に「グレーテ姫ファンクラブ」ができるのも納得です。
マジャスティスとギガジャティス


ちなみに、現代の大神官の墓を調べると、過去で活躍した呪文「マジャスティス」を習得できます。
さらに、これを覚えた状態で過去に戻り、当時の大神官に見せると、上位魔法「ギガジャティス」を閃くというイベントも発生します。
敵味方すべての呪文を封じるという使い所の難しい呪文ですが、過去と現代を行き来して歴史を紡ぐドラクエ7らしいイベントなので、ぜひ回収しておきたいですね。
まとめ
マーディラス編は、ゼッペルの悲劇的な過去と、そこからの再生が見事に描かれたエピソードでした。
PS版特有のゼッペル第1形態の理不尽な強さには心を折られかけましたが、現代の平和な光景とグレーテ姫の可愛さに癒やされて、クリア後の満足感はひとしおです。



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